デイヴィッド・リカードの経済理論と当時の時代背景を見ていこう
このシリーズは人を通りして経済を理解するものです。無味乾燥な経済学ではなくストーリーに基づいて経済を理解することができます。
リカードはどんな人か
リカードは1772年にイギリス生まれだ。実は経済学者としてキャリアを始めたのではなく、実業家として成功を収めた人物だ。経済学にやがて興味を持ち、なんと独学で経済学を学んだ。
もとは裕福な家庭に生まれたのだが、10代の頃から商売をはじめたため、教育の機会にはそれほど恵まれなかった。
非常に知識欲が旺盛であり、広範な知識をもっていた。その中で特に経済学の研究に没頭するようになった。
リカードの経済理論
リカードの経済理論を理解するためには、「比較優位の法則」が重要となる。すごくおおざっぱにこれを説明すると、国際貿易はお互いに利益になるよね、ということだ。
“The proposition which…is the foundation of the theory of international trade, is that which is expressed in the following terms: If two countries differ in their absolute costs of production of two commodities, there will still be an advantage in their exchanging those commodities with one another, provided that their comparative costs differ in the same direction.”
ここでは異なる国において二つの商品の絶対的な生産コストに差がある場合でも、それでもなお商品の交換に利益がでると説明している。
というのも国に応じて得意とする生産が異なるためだ。お互いが得意とするもの同士を交換するほうが、お互いの生産コストと利益において、利益が勝利するということになる。
この理論自体は現代でも通じるものがあるだろう。
もうひとつの理論
「労働価値論」というものがある。これは商品の価格はそれを生産するための労働時間が決定するというものだ。これは職人的な発想であって、現代の効率社会では受け入れがたい発想だろう。
アダムスミスに圧倒的が軍配があがる。
「比較優位の法則」が生まれた時代背景
まず注目すべきは、「産業革命」がおこったことだ。
これは人類史上でも最も重要な革命のひとつだ。
革命といえばフランス革命がすぐに思いつくが、実際的なテクノロジーの進歩から考えば、圧倒的なまでに産業革命に軍配があがる。
まあそもそもベクトルが少し違う革命ではあるのだから、当然といえば当然であるが。
この産業革命はイギリスが先行的になされた。そして貿易においても他国に対して優位にたてるようになった。そのために、国際貿易はイギリスに多大な利益をもたらせることとなった。つまり利益を得るためには、比較優位の法則はうってつけであったわけだ。
これがために今日リカードの経済理論が古びた古典として扱われる要因のひとつでもあるだろう。
ただそれだけでなく、産業革命は、どの国がどの生産に適しているか、また貿易をすることによってそのアドバンテージとディスアドバンテージの交換が可能であることを浮き彫りにしたのだ。
そのために比較優位の法則はこの「交換」を促進するのにうってつけの理論であったといえるだろう。
リカードは
リカードはもともと商人であり、知識欲の旺盛な人だった。
彼は実際的な商売の現場で磨かれた知性をもっており、その後に経済研究に没頭することによって経済理論をつくりあげた。
彼の理論は「比較優位の法則」に集約される。
これは当時の産業革命によって物があふれる時代になり、国際貿易がいかに英国に利益を生むかがリカードにとってはよく理解できた。
そのためにこの利益を促進するための理論であるといえるだろう。
コメント